星がつくレストランは、ちょっと敷居が高いけれど、
“オステリア/OSTERIA”は気軽に飲み食いが出来る大衆食堂的存在、庶民の味方。
日本の居酒屋のようにグループで何皿も注文して、取り分けて食べるのではなく、
一人一人食べたいものを注文して食事の後は満腹状態を個人毎にお腹と相談しながら、
また、オステリアのご主人のアドバイスを受けながら(?)デザートを注文します。
「今日のティラミス、特別に美味しいんだから!!」などと笑顔で勧められたら、
ほぼ100%満タン状態の胃袋でも、「結構です。」とは言えなくなります。
「オステリア」の原語は古代フランス語。
温かい食事や飲み物を提供し、おもてなしをする場所、という意味です。
余りに建物の外観が古過ぎて、「ここ、大丈夫かなあ;;;」などと
心配してしまうところも偶に見かけますが、
その佇いや外観そのものが「ようこそ」と大きく腕を広げて
迎えてくれるように見えてきます。
お国が変わればお客様をもてなす方法も変わる訳でして、
店内の雰囲気もざっくばらんな感じで、
お上品にちょこっとだけの色鮮やかな盛り付けとはうってかわって、
色数の少な目の大盛りの料理が、ポッコリお腹が出た愛嬌たっぷりのご主人によって
運ばれてくる、そんなイメージがピッタリです。
アッ失礼、とは言ってもちょっとお洒落なオステリアもあるし、
レストラン並のお値段がつくところもあります。
オステリアの原形は、既に古代ローマ時代から存在していたと言います。
それはカンパーニア州/CAMPAGNA、ナポリ/NAPOLIから25キロ程南下した所にある
ポンペイの遺跡/POMPEIにもその原形をとどめているのですから、
とても興味深いところです。
疲労回復のためであったり、また、安らぎを与えるという目的で、
食べ物や飲み物はテラコッタ製の容器で温かさを保持され、
温かいものは温かいままで提供され、交通量があるところ、広場の前、
また青空市場の中等に位置し、商人達の社交の場でもあったのです。
ボローニア/BOLOGNAでは、15世紀以降、オステリアの数が増え続けていって、
昔は男性のみの社交場また、知識人階級の社交場として栄え、
一時期は、会員制度であった所もあるとか。
戦後、オステリアの数は減少していったものの、近年はまた流行の兆しを見せています。
近年は男性のみならず、勿論、女性も普通に食事するところとなりました。
流行り廃りがあっても、心にホッコリ来るものは、人々の心に残っていくものだと、つくづくそう思います。
小高い丘に面した風光名媚な場所につき出たテラスを設けている所、
100年以上も続く老舗の店内にはグラッパ酒を貯蔵していた樽が飾られている所、
はたまた海の街の古いボートの上には鍋がのっかっていて、
それが看板の目印になっている所、各々、個性的です。
日本では、こんな番組がオンエアされるようです。
オステリアが出てくるのかはわかりませんが、面白そうですよっ。
イタリアに来たら誰でもピザ/が食べたくなるものですが、
オステリアのメニューには、通常、ピザはありません。
もし奇跡的にあったなら、石釜があるのかご確認下さい。
これ重要です。
黙されちゃいけません。
今日からイタリア人、のつもりで気軽に美味しい物をワイワイガヤガヤ食事するなら
オステリア、ピザはピッツェリア/PIZZERIA(ピザ専門のレストラン) に行って下さいね~。
そう、餅は餅屋です。