それは1300年代の終わり、
数々の痛ましい戦争のつめ跡を残す北イタリアのお話じゃった、、、。
ミラノ出身のジャンガレアッツォヴィスコンティ氏はまたの名を美徳の伯爵とも呼ばれ
軍を率いていた。
その部隊はミンチョ川流域に到着し、そこに本拠地を構えた。
部隊のテント内ではひょうきんなゴンネッラが戦いで疲れた戦士の傷を癒すかのように、
いつものように昔話を語り始めた:この流域には美しい妖精達が住むという。
しかし時折ある呪いが醜い魔女へと姿を変えてしまうのだ、、、
そんな昔話を子守り歌に仲間はスヤスヤと眠りにつくのだった。
しかしその中でマルコ大尉だけは目が冴えていた:隊の仲間にも信頼の厚い彼、
この晩はたった一人だけこの伝説が気になりどうしてもこの目で確かめたいと思っていた。
そんな中、川の方から魔女達が現れそして眠っていた仲間の兵隊達の間を踊っていたのを見たのだ。
伝説か作り話かそんなあやふやな思いもつかの間、確かに踊る魔女達を目撃したのだ。
しかしマルコの視線に気がついた魔女達はあわてて逃げ出した。
その中の一人がとっさに逃げようとしたその瞬間、羽織っていたマントを落とし
するとそれは確かに魔女ではなく見事に美しい妖精の姿だったのだ。
その瞬間、二人は恋に落ちた。
美しい妖精の名はシルヴィア、日が昇る前に深い川底へ帰らなければならないのだ。
シルヴィアは愛の証しとして、持っていたハンカチを優しくマルコに結んであげた。
数日後、ヴィスコンティ伯爵が率いる軍隊の晩餐会に三人の美しい踊り子達が華をそえた
マルコ大尉はその中にあのシルヴィアを見つけたのだ。
辛く厳しい戦争が続く中で心を癒してくれるシルヴィアの存在は何ものにも変えがたいものだった。
しかしかねてからマルコ大尉に好意を抱いていたヴィスコンティ伯爵のいとこイザベッラは、
二人の見つめ合う熱い眼差しに嫉妬しヴィスコンティ伯爵に「あの美しい踊り子は実は魔女なのだ」と告げ
宴はすぐに中断されそしてシルヴィアをすぐさま取り押えるよう伯爵から命令が下った。
マルコ大尉は衝動的にシルヴィアと軍隊の間に入って、シルヴィアを川の方へ逃がした。
そして伯爵に剣を渡して降伏しそして牢屋へ閉じこめられてしまう。
夜も静まった頃、イザベッラはすっかり力を落としたマルコ大尉の前に現れた。
二人の愛を引き裂いたことを詫びたかったのだ。
そこへシルヴィアが現れ愛するマルコを助けるためイサベッラへマルコを解放するよう強いたのだ。
元はといえばマルコを愛していたイザベッラは彼を牢屋から逃し、
マルコはシルヴィアと共に川の方へと逃げた。
ヴィスコンティ伯爵は軍隊に二人を追うように警戒態勢をとらせたがしかし、
イザベッラからすぐにそれを中止するようとがめられた;二人の愛はもう誰にも抑えることができないと理解したのだ。
川へ着いたシルヴィアとマルコは水の中へ身を投げた;地上ではもはや二人の愛を育むことができなかったのだ。
二人を追ってきた伯爵は川岸に落ちていた黄金色の絹のハンカチを見つけた。
それはまさに永遠の愛を誓った二人の愛の証しとして、たった一つ残されたものだった。
お し ま い
「町の中にあるシルヴィアの像」
「ミンチョ川」
「肉詰めのトルッテリーニ、ブロードで」
これはヴェローナのヴァレッジョ/VALEGGIOというところに残るお話。
そしてここでこの伝説を元に有名になったトルテッリーニ
(生パスタに肉を詰めたものやリコッタチーズを入れたものなど種類は豊富)、
それはそれは薄~い生地、本当に薄くてスーっと口の中でとけていきます。
それはまるでしなやかな絹のよう。