エミリー・ヒラリーのルポ | Dutchwest Japan / ダッチウエストジャパン

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エミリー・ヒラリー・るりこさんのルポ


Reportage


るりこさんのイタリア便り

るりこ
るりこさん
ZARINAイタリア駐在スタッフ
イタリア各地を訪れたり、ZARINAで淹れた
エスプレッソで作るお菓子のレシピをご紹介します。
  1. 粘土で遊んでいた天才彫刻家

    2016年4月28日るりこさんのItaly便り

    ホワイトアスパラガスは今が旬!
    レストラン、トラットリアそしてピッツェリアでもそれをのせたメニューが勢揃いで
    我が家でも週に一度はリゾットにしていただきます。
    その名産地バッサーノデルグラッパから北東へ進むと、トレヴィーゾ県の
    ポッサーニョ Possagnoという人口2200人の小さな町、
    そこには世界中の皇帝から受注があとをたたなかった彫刻家カノーヴァ/CANOVA(1757-1822)の美術館があります。
    うっかり見過ごしてしまいそうな外観、彼の生家であったところに隣接します。

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    実は、”美術館と石膏型の展示館”という名称が正式でその名の通り、
    ここには大理石を彫る前の工程で実際に作製していた石膏で型どったものが展示されています。

    また石膏で作られたモデルの他、大理石の彫刻、粘土製の模型、
    数年間描いていた絵等が実際に使用されていたテーブルや椅子と共に展示されて、
    室内にまだ本人が生きているような錯覚を起こす不思議な空気が流れます。
    優しいタッチで描かれたデッサンに見入っていると穏やかな気持ちになってきます。
    彼用に仕立てられた服も展示されていて、シャツのボタンや袖口のあしらい等
    細かいデテールに気配りが施され、そこにも彼の美的センスを垣間見ることが出来ます。

    6歳か7歳の頃、アーゾロにあるヴェネツィア貴族のお屋敷の晩餐会中、
    バターでライオン像を”成型した”カノーヴァの才能を見い出したのは
    上院議員のジョヴァンニ•フェリエール氏、
    地元ポッサーニョで採掘された粘土が彼のおもちゃだったそうで、
    その粘土遊びが彼の生涯を支えた訳です。

    仕事の合間や旅の疲れをとるためにリラックスしていたのは建物の内側にある庭、
    庭にはあやめが咲きほこり、しゃくなげの花もありましたよ。

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    その庭のスタイルはイタリアンですが、よく観察すると1799年に本人が植栽したという
    幹が見事な太さの松の木が来館者を迎えてくれます。

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    館内は撮影禁止なのですがここは大丈夫、皆ここで記念写真を撮っていきます。
    薔薇の蕾はまだ固く気温が上がるのをジッと待っているようです。

    アイディアが浮かぶとスケッチし、それを実際に粘土、テラコッタ又は蝋で型を作った。
    そしてそのデザインが良しとなれば石膏で型を作り土台となる「モデル」を作っていた。
    その上に青銅製の釘を打ち付け、お客の要望の大きさに答えられるよう、
    コンパス(この形が中々面白い!)を使って、例えば目と頬の距離間や比率等を計り確認しながら、
    実際の大理石の彫刻にとりかかっていた。
    その工程順に仕事道具も展示されていて、これがまた中々面白いのです。
    素敵なものきれいなものを見ることは心が研ぎ澄まされます。
    今回はそれプラス元気を貰ったような気がします。
    パッションを持って仕事をすることは素晴らしい!

    ZARINA

  2. お城の見学

    2016年4月18日るりこさんのItaly便り

    白いハナミズキが満開です。

    我先と争うかのようにあやめも稟としてすっと咲いています。

    おととい通った時はまだ、たらの芽のように閉じていた木々の葉も

    今日通ったら体いっぱい広げて目にも鮮やかな緑色に大きくなっていたり、

    この季節は小さな気づきに喜びを感じます。

    バイクで出かけるいい季節になりました。

    という訳でモンセーリチェ/Monseliceへ。

    人口1万8千人の町、パドヴァ県/Padovaの南に位置する “石の採掘”という意味の

    地名紀元後8世紀にエッゼリーノ三世によって建てられたお城の見学、

    入口脇でチケットを購入すると常駐しているガイドさんが、

    タイムスケジュールに従って各グループを案内してくれます。

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    お城の中に一歩入るとそこは暗~くて冷んやりした空気が漂って

    それだけで当時の雰囲気を醸し出します。

    中世紀にカッラレーズィ家によって改修され、その後ヴェネツィアの貴族マルチェッロ氏の住居となりそして、

    1942年にはヴィットーリオ チーニ伯爵によって博物館とされました。

    彼の莫大な経済力のおかげでイタリアのみならずヨーロッパ各地から取り寄せた

    防具や鉄砲のコレクションが整然と展示されています。

    象牙に彫られた女性用のもあります。

    その当時から保存されているサロンの絨毯、

    「皆さん、踏まないように気をつけて下さいね~。」

    ガイドさんの注意もつかの間、上を見上げると天井にはまるで動物図鑑のように

    見事に描かれた数々の鳥や動物の絵は何と200以上にも及ぶそうです。

    一際目をひいたのはサロンの暖炉、装飾が面白いです。

    絵葉書が売られています。

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    台所に入るとそれはそれは大きなかまどがどっしりと陣取っています。

    ガイドさんの説明によれば串刺しにして大きな動物も丸ごと一頭調理していたそう、

    上下にも上げ下ろしが出来る工夫もなされていたのです。

    脇にはパンや小麦粉を保存する木製のストッカーもありました。

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    館内は残念ながら写真撮影禁止なのですが、唯一撮影可能な中庭、

    元以前の所有者ヴェネツィア人の貴族が有したいた面影を残すそこには井戸があり、

    ヴェネツィアを散策するとあちこちに見かけるものと同じ形、

    やはり生まれ育った土地を忘れられずわざわざ職人に作らせたそう、

    その中庭から見える裏山は削り取られて変な形をしているのですがそれはお城の元所有者の仕業だそう、

    ヴェネツィアのサンマルコ広場の60%の地面舗装は何とこの山から削りとられた土を

    実際に使用したものだそうで驚きです!

     

    歴史を刻んだ舗道に沿って数十メートル毎に7つの小さな礼拝堂を通り過ぎて

    ゆっくりと歩いて丘を登って行くと、そこからは一望にパダーノ平野が見渡せることが出来て、

    その眺めはまた格別です。

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    ZARINA

  3. 愛の絆は黄金色

    2016年4月8日るりこさんのItaly便り

    それは1300年代の終わり、

    数々の痛ましい戦争のつめ跡を残す北イタリアのお話じゃった、、、。

    ミラノ出身のジャンガレアッツォヴィスコンティ氏はまたの名を美徳の伯爵とも呼ばれ

    軍を率いていた。

    その部隊はミンチョ川流域に到着し、そこに本拠地を構えた。

    部隊のテント内ではひょうきんなゴンネッラが戦いで疲れた戦士の傷を癒すかのように、

    いつものように昔話を語り始めた:この流域には美しい妖精達が住むという。

    しかし時折ある呪いが醜い魔女へと姿を変えてしまうのだ、、、

    そんな昔話を子守り歌に仲間はスヤスヤと眠りにつくのだった。

    しかしその中でマルコ大尉だけは目が冴えていた:隊の仲間にも信頼の厚い彼、

    この晩はたった一人だけこの伝説が気になりどうしてもこの目で確かめたいと思っていた。

    そんな中、川の方から魔女達が現れそして眠っていた仲間の兵隊達の間を踊っていたのを見たのだ。

    伝説か作り話かそんなあやふやな思いもつかの間、確かに踊る魔女達を目撃したのだ。

    しかしマルコの視線に気がついた魔女達はあわてて逃げ出した。

    その中の一人がとっさに逃げようとしたその瞬間、羽織っていたマントを落とし

    するとそれは確かに魔女ではなく見事に美しい妖精の姿だったのだ。

    その瞬間、二人は恋に落ちた。

    美しい妖精の名はシルヴィア、日が昇る前に深い川底へ帰らなければならないのだ。

    シルヴィアは愛の証しとして、持っていたハンカチを優しくマルコに結んであげた。

    数日後、ヴィスコンティ伯爵が率いる軍隊の晩餐会に三人の美しい踊り子達が華をそえた

    マルコ大尉はその中にあのシルヴィアを見つけたのだ。

    辛く厳しい戦争が続く中で心を癒してくれるシルヴィアの存在は何ものにも変えがたいものだった。

    しかしかねてからマルコ大尉に好意を抱いていたヴィスコンティ伯爵のいとこイザベッラは、

    二人の見つめ合う熱い眼差しに嫉妬しヴィスコンティ伯爵に「あの美しい踊り子は実は魔女なのだ」と告げ

    宴はすぐに中断されそしてシルヴィアをすぐさま取り押えるよう伯爵から命令が下った。

    マルコ大尉は衝動的にシルヴィアと軍隊の間に入って、シルヴィアを川の方へ逃がした。

    そして伯爵に剣を渡して降伏しそして牢屋へ閉じこめられてしまう。

    夜も静まった頃、イザベッラはすっかり力を落としたマルコ大尉の前に現れた。

    二人の愛を引き裂いたことを詫びたかったのだ。

    そこへシルヴィアが現れ愛するマルコを助けるためイサベッラへマルコを解放するよう強いたのだ。

    元はといえばマルコを愛していたイザベッラは彼を牢屋から逃し、

    マルコはシルヴィアと共に川の方へと逃げた。

    ヴィスコンティ伯爵は軍隊に二人を追うように警戒態勢をとらせたがしかし、

    イザベッラからすぐにそれを中止するようとがめられた;二人の愛はもう誰にも抑えることができないと理解したのだ。

    川へ着いたシルヴィアとマルコは水の中へ身を投げた;地上ではもはや二人の愛を育むことができなかったのだ。

    二人を追ってきた伯爵は川岸に落ちていた黄金色の絹のハンカチを見つけた。

    それはまさに永遠の愛を誓った二人の愛の証しとして、たった一つ残されたものだった。

    お  し  ま  い

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    「町の中にあるシルヴィアの像」

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    「ミンチョ川」

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    「肉詰めのトルッテリーニ、ブロードで」

     

    これはヴェローナのヴァレッジョ/VALEGGIOというところに残るお話。

    そしてここでこの伝説を元に有名になったトルテッリーニ

    (生パスタに肉を詰めたものやリコッタチーズを入れたものなど種類は豊富)、

    それはそれは薄~い生地、本当に薄くてスーっと口の中でとけていきます。

    それはまるでしなやかな絹のよう。

    ZARINA


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