ダッチウエストジャパン製品カタログ
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赤く輝く火、熱としての火、光としての火、すべてを焼き尽くす火私たちは木を一時お借りしているのです 木を切り、薪にすることを自然の破壊であるように思い、罪悪感をもつ方もいらっしゃるでしょう。もちろん、肉牛牧場や大豆畑を作るためにアマゾンの熱帯雨林を大規模に焼き払うようなことは問題です。かつて4万5千年ほど前、人類が初めてオーストラリア大陸に到達したとき、道や狩猟のための開けた場所を作るため大規模に火を放ちました。その結果、自生する植生が焼かれて絶滅し、それを食べていたエミュなどの巨大生物種も絶滅したという説もあります。人間は、倫理と環境的バランス感覚をもって火の使用を管理・抑制しなければなりません。 薪ストーブの燃料になる薪は、森林の経営・管理プロセスで生じる木の利用です。薪の燃焼は、石油や石炭などの化石燃料とは違って、地球のバイオマスの循環に入っています。また、若木は成長するために光合成によってさかんに二酸化炭素(CO2)を吸収して酸素(O2)を排出しますが、老木になるとその収支が崩れて、CO2を多く放出することすらあります。大きくなった木を切り、苗木を植林する。これこそ森林と人間が共存できる道なのです。私たちは木を一時“お借り”しているだけなのです。薪こそ“エコ的”燃料 “ファストフード化”は暖房エネルギーにもおよび、便利な電力や石油への依存は高まる一方です。しかし、発電コストは高く、温暖化につながるガス排出の問題ともからんで、この小さな惑星に大きすぎる負担をかけています。 今こそ私たちは“スローライフ”的な暖房に戻らなければなりません。そして、薪ストーブはその回答なのです。薪ストーブの運転には電気をいっさい使いません。停電になっても薪ストーブは明かりを灯し続け、そこで調理もできます。 電気や石油暖房を止めることは難しいでしょう。しかし、薪ストーブを使用することで、電気や石油暖房のメモリを下げたり、一時的に停止をさせることができます。もうひとつのルネッサンス ~スローライフ~ 西欧では中世が終わる頃、宗教や階級にがんじがらめだった人たちが、人間がもっと人間らしかった古代ギリシア・古代ローマの文化を取り戻そうとして始めた動きがありました。ルネッサンスです。 現在、日本で薪ストーブという形で起こりつつあるスローライフは、スピードを重んじる効率至上主義にがんじがらめになっている現代社会の“もうひとつのルネッサンス”と言えるかもしれません。 スローライフの元になったのは、イタリアで始まったスローフードという運動です。地元で採れた旬の素材を料理し、家族や友人でテーブルを囲んでゆっくり食事しましょうという運動で、アメリカのファストフードが全世界に広まっていることへの危機感から生まれた一種の思想です。

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