ロンドンの北に位置するハートフォードシャー州ペリー・グリーンにあるヘンリー・ムーア(Henry Moore)美術館へ行ってきました。
英国を代表する彫刻家ムーアが1940年から他界する1986年まで過ごした場所を美術館として季節限定で公開していました。
ムーアは、作品の依頼があったときに客人を居間に招き、小さな模型を見せては、作品への情熱を語ったそうです。
世界各地を旅行し、集められた像が所狭しと並べられ、作品へのアイデアに活用されたそうです。
ムーアの作品は木、石、プラスチックや銅像と多々ありますが、小さな模型から徐々に拡大させる、巨大な金属製の作品に仕上げる工程は多岐に亘り、思わず驚かされます。
工程を知った上で庭に展示された数々の巨大な彫刻を見ると、作品の凄さが垣間見えます。中でも丘の上に横たわる作品には驚きとともに圧倒されました。
彼はヨークシャー出身のためか羊に関心があり、デッサンには数多くの羊が描かれ、しまいには隣の農家に頼み、羊が群れをなす牧場の真ん中に、羊をイメージした巨大彫刻を置かせてもらったというのです。羊たちも気に入ったようで銅像を取り囲んでいました。
ムーアの作品は女性、家族、なめらかな曲線が多く、モデルは抽象化したものなので少々理解しづらい部分もあり、レポーターの子供達にはとくに受け入れ難かったようです。同時展示していた、肉体美のあるロダンのほうが好みだったようです。
しかし、ムーアの意図した抽象化によって人々が作品についてより深く考え、ムーアが求めた記憶に残る芸術品となる観点からは成功していると思いました。
但し作品の好き嫌いは別にして、特にレポーターのアヤは最近どこでも彫刻を見かけてはモーア、ヘンリー・ムーアと叫ぶほど、彫刻とムーアの作品が結びつき、心に残っているようです。
ムーアの作品は箱根彫刻の森美術館をはじめ日本全国各地にも展示されています。機会がありましたらご覧になって、英国彫刻家の作品がなぜ日本に多くあるのか考えてみるのもいいかもしれません。