朝晩、だいぶ冷え込んできました。
日中お日様が出ると秋空高く、白い綿菓子のような雲がフワフワと形を変えながらスッと消えたりして、、、。
手に持つカフェラッテのマグカップのぬくもりが何ともいえない優しさで体を包んでくれます。
ピラカンサスの生垣に囲まれた、敷地の随分奥に堂々と構えたヴィッラ。
お屋敷の前には見事に整列した葡萄の木が尚一層威厳を保ちます。
普段は敷居が高くて入ることが出来ない立派なお屋敷も、
こういう収獲祭があると運良く近づいて見る事が出来るチャンスでもあります。
1500年代に建てられ、1996年に世界遺産に登録された
アンドレーアパッラーディオのヴィッラの一つ。
ヴィッラアンガラーノの一角、お屋敷の隣にある馬小屋だったところ、
昔の面影をそのまま残しながら少し手を加えたこの場所で葡萄祭が開かれました。
中庭にも葡萄のつるがしっかりと技を張りめぐらせています。
お屋敷内にある「別館」では黒板に手書きで記されたメニュー表が掲げられています。
グラス売りで試してそれがお気に召したらボトルも購入出来るわけです。
あのアパレルメーカーのワインもあったりして、
興味本位で試したらこれがうまかった:樽の香り高くさらっとした甘みで滋味あふれる風味。
収獲祭りでは勿論、ワインとのバランスを考慮されたメニューがお目見えします。
煮込んだ肉、サルシッチャ、焼きチーズとポレンタ等、
どれもこのお屋敷近辺の産物で地元ならではのもの。
軽く食べたい人にはブルスケッタも用意されていて、
遠くからオーダーしたブルスケッタが出来上がった番号を大きな声で呼ぶ(いや叫ぶに等しい?!)
食後にはデザート類も5、6種類用意されています。
目が合ったのはワインケーキ。
ほんのりとした甘みに少し酸味がかったワインのほのかな香り、
しっとりした生地が選んだワインと調和がとれていて
「ハァ~」と幸せの溜め息をもらしてしまいます。
ゆる~い感じの音楽のバンドも居合わせってお祭りの雰囲気を盛り上げます。
まったり空気が流れ、そして秋風もそよいでリラックス、、、(アララワインが効いたか、、、)。
昔の葡萄酒作りをほうふつとしてよみがえる、
これぞ人による葡萄の圧搾競争なんていう興味深い「真剣ゲーム」もあります。
昔はこうしてワインを作っていたのですね。
子どもは皆走り回り、大人は皆手にワイングラスを片手に立ち話。
ワインの樽をテーブル替りに立ち飲みスタイル。
スローフード協会の創立者、カルロペットリーニ氏も以前おっしゃっていましたが、
こういう収獲祭は代々伝えていかなければいけないもの。
それぞれにその表現の仕方は変わっても、
実りに感謝して皆でおいしいものを一緒になってわかち合い、
共存性、無くしかけている何かを取り戻すためにも
これからも続けて行くべきだと提唱しています。
この収獲祭は小中学生の子どももボランティアでデコレーションをしたり
料理作りを手伝ったりと、地域密着型のお手本のようなお祭です。
昔々、このヴィッラを所有していたファミリーが元々葡萄農園を経営していたため、
ここの5姉妹がそのパッションと熱意を違う形に変えて場所を提供したというストーリーもあります。
このヴィッラの所有者が葡萄祭の主催者に場所を提供してそれが輪→和となり、
他では味わえない何ともいい雰囲気を造り出すのでしょう。
心の通い合う者通しが一緒になって楽しみながら何かを造りあげる、
そのいい結果と一例を体験させてもらって感謝です。