「ルミニャーノ」の看板を曲がって間もなく鐘突き塔が見えて来た。
小高い丘の麓に堂々とまさにそびえ建つという表現に相応しいくらい随分と高さがある。
今日はルミニャーノのグリンピース豆祭にやって来た。
肉好きの夫を何とか説得して、無理矢理連れて来た。
バイクで偶然通りがかった時にお知らせの横断幕を目にしてカレンダーに記しておいたのだ。
ここのグリンピース豆は早生で甘い事で評判で、1939年~40年頃は、
週3回夜には市がたって直売がなされていたそうだ。
このグリンピース豆の栽培に適した土壌の秘密は
このゴツゴツした起伏のある織部色をした森に覆われた岩にある。
コッリベーリチと言う小高い丘一帯で栽培される早生で甘いのがここのグリンピース豆の特徴だ。
蛋白質、鉄分、亜鉛、ビタミンBとCを含みそれに加えカロチン、食物繊維が豊富で、
修道士が中世から収獲していた文献もあるとのこと。
ヴェネト州の郷土料理、数々あれどその中にリーズィ エ ビーズィという料理がある。
「米とグリンピース豆」という名前のひと皿が方言で表され、
イタリア国内でもこの名前できちんと通る料理名だ。
リゾットでもなくスープでもない、見た目も触感もちょうどその間くらいが由緒正しい調理法だ。
シンプルだけれど、さやを捨てずにそれも単独で煮て漉してこの料理に加えてあると言うのだから
実は手間がかかる料理なのだ。
コトコトとじっくり調理するに相応しい、ヴィアローネナーノ種の米が適しているのだとか。
この種の米は煮込むとふっくらと美味しいスープを吸収するので、これが一番適しているそうだ。
ハハーンなるほど!
昔のヴェネツィア貴族をもうならせた料理だと言うことに納得できる。
ヴェネツィアの守護聖人、聖マルコの日をお祝いするには欠くことの出来なかったご馳走なんだ。
会場の大型テントが張られた入口に近づくと「オーダー開始は18:40から」の張り紙があり、
そしてその横にはメニューも掲示されて、おなかがギュルルと反応する。
メニューのトップバッターは、今日のお目当てのリーズィ エ ビーズィだ。
欲を言えば、「グリンピース豆の大盛り!」と注文したいところだけれど、
貴重なお豆さん、さすがにそれは出来ない。
他に牛肉の煮込みとグリンピース豆、イカの煮込みとグリンピース豆を注文した。
いや、今日のメインはグリンピース豆だから「グリンピース豆にイカの煮込みをつけ合わせで」?
収獲祭の料理のボリュームは必ず、私達を満足させてくれる。
ワインまでこの通り、テーブルまで運んでくるのもソロソロとゆっくり歩かなければ、
スタッフの伯父さんが並々ついでくれたせっかくのワインがこぼれてしまう。
オーダー番号を呼ばれて料理を受け取ったトレーに載っていたペーパーをパチリ!
この町がこれで一望出来るというちょっと素敵なアイディア。
リゾットでもズッパでも無いそのちょうど間ぐらいの料理名は何と言うのだろう、、、?
また宿題が増えてしまった。
お祭の入口にちょこんと建っていた直売所で買って来た真っ赤なさくらんぼを食べながら、
夫と疑問に思うのであった。