エミリー・ヒラリーのルポ | Dutchwest Japan / ダッチウエストジャパン

  1. お問い合わせ
  2. 10:00~17:00(12:00~13:00を除く)定休:土曜・日曜・祝日
  3. 0120-700-027

エミリー・ヒラリー・るりこのルポ


Reportage


るりこさんのイタリア便り

わたなべ るりこ
るりこ
ZARINAイタリア駐在スタッフ
イタリア各地を訪れたり、ZARINAで淹れた
エスプレッソで作るお菓子のレシピをご紹介します。
  1. 老舗の革命

    2017年9月12日るりこさんのItaly便り

    9月に入って随分気温も下がってきました。

    とんぼが、とうもろこし畑脇の用水路の水面を低く飛んでいるのを見かけました。

    ご近所のワイン用の葡萄畑ももうすぐ収獲を迎えそうです。

    またいつも産みたて卵をいただくスペディータさん宅のひよこ達も、

    随分と大きくなって母鶏の後ろをついて回ります。

    8月にトレッキングしたヴァッレ ガルデーナでは

    「雪が降った」と、ニュースで報道していました。

    この気象の変化にビックリです。

    イタリアの9月は「始まり」の月でもあります。

    町の文房具屋さんだけでなく、スーパーの中にも特設コーナーが設けられて、

    色鮮やかなリュックサックや筆箱がズラリと並びます。

    小学校に入学する子ども達は各々好みの大きなリュックを背負って、初登校するわけです。

    保育園はもうすでに始まって、学校関係は13日(水)から新学年が始まります。

    いつも思うのですが、どっぷり3ヵ月のバカンスに浸かった子ども達は、

    いつものリズムを取り戻すのに1ヵ月はかかるだろうなあと。

    それを承知の先生方も大変です。

    今年の夏も色々なことがありました。

    そんな中、日常生活に密着した話題でずっと書きたかったこと、それは「保存瓶」についてです。

    日本ではボルミオリロッコの名前で知られているようです。

    この老舗の硝子製品会社は、時は遡って1800年代半ば、

    ガラスアートの衰退から立ち上がる為に立ち上げた企業で、

    エミーリアロマーニャ州にある、フィデンツァという町が出発点のようです。

    硝子製のデミタスカップやワイングラスもあるのですが、

    何と言ってもイタリアでは保存用のガラスジャーは誰にでも知られた存在。

    舅も毎年恒例の自家製トマトソースの保存には、必ずこのメーカーのを使います。

    サイズもバリエーションに富んでいて丈夫、しかも、お値段も安い!

    まとめて購入する人がほとんどなので、こんな風に大胆に陳列されています。

    1971.jpg 1972.jpg

    他のメーカーがどんどんコピー商品を出すほどです。

    別にこのメーカーから ‘賄賂 ‘をもらっている訳ではありませんが、

    もう何年も前からこれについて書きたいと思いつつ時が過ぎて、

    ちょうどあるきっかけがあったので、今回書くことにしました。

    少し涼しくなったとある日曜日、久しぶりに夫と自転車でアンナ叔母さん宅へ。

    薪のキッチンストーヴを愛用するアンナ叔母さんは80歳、

    ついこの間まで、お裁縫もやっていました。

    我が家のクッションや暖簾も作ってもらって随分お世話になりました。

    行く度にいつも叔母さんから何かを教わります。

    主婦の知恵、今回はこの保存瓶の利用法の一つ。

    畑の採れたてパセリを直ぐに瓶に入れて冷蔵庫で保管すれば、

    1週間は新鮮でみずみずしさを失わない、というのは去年の学習!

    今回は、多めに作ったスープやミネストローネの出来たてをすぐ瓶に移し、

    その直後に蓋をきちんと締めて、キッチンに放置。

    自然に冷めるまで待って、それから冷蔵庫で保存するというのです。

    これも1週間は持つというのです。

    これ知りませんでした、目から鱗です!

    アンナ叔母さんが使っていたのもこのメーカーのもので、サイズはかなり大きなものでした。

    冷凍してそれを解凍し食べるというのは、時間も要するし味も落ちる、

    これから温かいスープを飲む季節になってくるし、

    これなら一度作ってしかも二度食べられる、作る方にとってもとても助かります。

    ところで、これまではクラシックな黄金色の蓋のみの販売でしたが、

    今年は ‘ニュース’がありました。

    たかが蓋されど蓋、今年はちょっと素敵なデザインも仲間入りです。

    1973.JPG

    お洒落な雑貨屋さんというより、町の金物屋さんといった方が正しい、

    たまに行く店、そこで発見しました。

    取っ手が付いた瓶や、ストローが刺せる瓶等も、続々入荷です。

    些細なことですが、こんなところに、この企業の’革命’を感じました。

    歴史ある老舗メーカーが、新商品を開発してそれを販売するというのは、

    中々そう簡単にはいかないだろうといつも思うのです。

    ちょっとひんまがった物の見方ですが、この新商品を手にした時、そんな事が頭をかすめました。

    ここ数年、イタリアのレストランではこのような保存瓶を使って

    ティラミスや冷たいデザートを提供するのが流行しています。

    ちょっと目先が変わって素敵です。

    先日、我が家でパッタイパーティーをした時に、

    マンゴーやパッションフルーツを保存瓶に入れて下準備をしておき、

    デザートタイムの時にジェラートを入れてお出ししたら、結構人気でした。

    叔母さんからもらった大量のプルーンを砂糖で煮たり、

    ズッキーニをピクルスにしたり私の”実験”は今年も実行されました。

    1974.JPG 1975.JPG

    成功したかどうかつまり、美味しいかどうかは数ケ月後、開封してのお楽しみ。

    保存棚には、舅が作ったトマトソースも整然と並べられています。

    1976.JPG

    その数は今年も更に増えました。

    次回の帰国の際には、自家製味噌を作る日本のいとこに、お土産で持って行こうと思います。

    器用ないとこはお裁縫が好き。

    空になった保存瓶に刺繍糸を入れて棚に飾ったりして、再利用するんだろうな、きっと。

    ZARINA


ルポライター


最新の記事


アーカイブ


loading