あそこの鶏がいるお宅のコスモス、あの角の整然と整地された、
見るにも誠に美しい畑があるお宅の小菊も今が満開です。
地球温暖化とは言え、自然ってやっぱり凄い底力を持っているんだと
つくづく思ったのはちょうど、23日の秋分の日でした。
イタリアは日本のように祝日ではありませんが、
その日外を歩いていると「秋の匂い」がしてきました。
わらを焼いたような匂いや、風そしてそこに金木犀の香りがかすかに混ざった “秋の匂い”です。
暑くもなく寒くもなくちょうどいい気温で、
いろんな匂いが優しい風に吹かれてスゥ~っと抜けて行きました。
今年は夏が異常に暑かったせいか、もうすでに栗が店頭に並んでいます。
各自治体毎に、野外で映画観賞会が開かれるため、
イタリアの夏の映画館は割と空いているのですが、
秋になって涼しくなってくると、またお客さんが増えてくるようです。
そんな中、2週続けて映画館へ行くきっかけがありました。
それはいずれも、日本に関するもの。
先週は、劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」。
皆さんはご覧になりましたか?
もう涙が溢れ出てきて止まらなくて、、、。
5年前に行った広島の町並みや、この映画の舞台となった呉と少し似ている
尾道の丘からの海の眺めを思いだしました。
昔は「漫画なんか見ちゃだめよ。漫画はよくないから。」等と親に叱られたものですが、
何をおっしゃいます、今では、世界に誇る日本のれっきとした文化ではありませんか。
結構入っていましたよ、お客さん!
こちらの友人達は皆口々に、「うちらは日本のアニメで育ったようなものよ!」と言います。
実に以外でしょう?!
そしてもう一本のタイトルは「HOKUSAI DAL BRITISH MUSEUM」。
www.youtube.com/watch?v=IV696EMhMQI
こちらは、イタリアでは珍しく吹き替え無しで、字幕がイタリア語でした。
ドキュメンタリー映画と言っていいでしょうか。
この夏、ロンドンにある ‘BIRITISH MUSEUM’で」開かれた “北斎展”の様子や
それに係わった人達のインタビュー、そして北斎に絶大な影響を受けたゴッホの話など、
とても興味深いものでした。
私はどちらかと言うと美術館巡りをするタイプではありませんが、
心のアンテナにピピーンと来たものについては見に出かけます。
特に、あの ‘大波’で有名な「神奈川沖浪裏」は外国の人に非常に人気があるそうです。
「今も昔も変わらない、人間の暮らしが彼の絵の中に見ることが出来る。
一般庶民を主人公にして称えた、それが北斎の魅力だと思う」とは、
この大展示会の責任者クラーク氏。
イタリア国民が愛するエスプレッソコーヒーを沸かすこの直火式のモカを、
果たして北斎は手にしたか、味わったかどうか、、、。
鎖国の時代に日本へコーヒーが伝わったと言うことは、
北斎は残念ながらそれを口にしたことは無かったか?!
でもきっと好物だった大福餅とコーヒーの相性は悪くないはず、、、などと
勝手気ままに空想をめぐらす秋の夜長です。
その翌日、偶然にも本屋さんでこの二冊の本を見つけました。